彼の名はエル。
百年後の世界から来た、という。そんなことって信じられる?
物語りにならよくあるけれど。

エルはふしぎな機械で空中に動く絵を映してみせた。
今から百年後、世界はおそろしい伝染病で
滅びかけているんだって。
そして、その病に罹ってはじめて死んだ---
いわば、滅びのマリア。
それが私なんだって。
私は、いまから半年以内にひとりぼっちで死んで…
それからまた半年後に、くさりはてた死体になって
発見されるんだって。

「病がお前を訪れる前に、俺が殺してやる。
 そうすれば世界は救われるんだ」

エルは、たったひとりで歴史を変えに来たんだ。

そんなこと信じられないよ、そういう私に
エルは予言をした。
軍の飛行機が、図書館に墜落する---

ほんとうだった。
エルは、ほんとうに未来から来たのだった。

本に名前が残って、未来の人達に知られる存在になりたい…
たしかにそれは夢だった。
だけど、こんな形でなんて嫌。
…私は無名でも、世界を滅ぼすマリア様になんて
なりたくない。

でも…死ぬ前にしておきたかったことがあるの。
エル、私の望みを聞いてくれる?

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